鮮やかな転職
雇用する形態として、契約社員制度が利用されることが多くなっています。
この制度は、科学技術が高度に進展し、企業内に専門職制度が確立していけば、必然的に外部労働市場に展開していくものといえます。
すなわち、このような専門能力者は、その能力を高めることにより自己の生活を守ることになりますので、企業内にとどまるより、他企業にも勤める方が、自己の能力の向上ができ、またより良い労働条件(とくに賃金)を得ることができるようになるからです。
このような契約社員については、まさにその専門的能力を有することが労働契約の内容になっており、その面からの個別労働契約の合意内容が、労働条件および労働契約解消を解決する鍵になるといえます。
また、労働時間については裁量労働による「承なし制」の採用、そして実績に対する支払いという年俸制の導入などが可能な就労形態といえます。
さらに、この専門労働者が今日、在宅勤務という就労形態をとる事例も承られます。
専門労働者については、後で詳しく説明します。
女性外交員の処遇のための就労形態証券会社や保険会社は、〃セールスレディ〃などと称して、多くの女性外交員を契約社員として雇用しています。
この契約社員については、就労実態を十分把握しなければなりませんが、期間雇用者と類似の形態、パートタイマーと類似の形態、女性差別の方法としての形態、在宅勤務型の就労形態など、さまざまな要素を含んでいるものと思われます。
したがって、その労働契約内容と就労実態を十分把握したうえで、労働条件および労働契約解消の問題を考えなければなりません。
実務社会の極端な例でいえば、コネがある女性だけを正社員として雇用し、他の女性については、新卒でも契約社員という雇用形態で採用するケースが承られます。
そしてこの場合、担当業務は正社員として雇用された女性と同様でありながら、契約期間は一年、更新限度も二回とし、賃金は低く抑えられ、退職金もないというケースが承られます。
これは、従来、女性正社員を雇用しながら、補助的・定型的業務に就け、二、三年後の結婚退職を見込むという方法で行っていた労務管理を、契約社員という雇用形態に置き替えることによって維持しようとするものです。
また、契約社員のほうも、更新の拒絶を恐れて正社員の女性よりも誠実な労務提供を行い、有給休暇の主張もしない、あるいはその消化を必要最小限に抑えているという場合が少なくないといえます。
このような契約社員の労働条件面の問題については、裁判例で、雇用形態の差異にもとづく労働条件の格差は、社会的身分による差別に該当しないとされていますから、労働基準法第三条の差別的取扱いには該当しないことになります。
しかし、女性はすべて契約社員として雇用するという場合は、労働基準法第四条の性差別の問題が出てくる可能性があります。
それは、雇用形態を籍口して、性差別を行っているという法的主張にもとづくものです。
実際にこのような主張にもとづいて裁判が行われていた事案もありますから、注意する必要があります(この事案は、平成九年一月に和解しています)。
このような問題点がありますが、雇用形態が違えば、異なる労働条件を設定しても、契約の自由で許されることになります(しかし、女性差別の温存を目的とする手法は、改正男女雇用機会均等法の成立を契機に、今後さらに厳しい批判にさらされていくことになると思います)。
労働条件問題が、契約の自由の原則によって現状の取扱いが肯定されたとしても、労働契約解消の問題については、裁判所の厳しい判断を受けることになると思います。
まず、このような契約社員の更新回数の限度は、若年定年制を定めるものとも考えられ、同時に女性差別として公序良俗違反となり無効といえます。
また、更新を重ねた後の期間満了による労働契約解消の主張についても、解雇権濫用の法理が類推適用され、更新拒絶について解雇手続成功報酬型契約社員吃労働条件と契約解消と解雇理由が求められることになります。
新卒の若い女性労働者を契約社員として雇用し、その更新回数の限度が有効であるというには、その業務の特殊性、そして賃金を含めた労働条件が同年代の女性正社員より有利になっているという事情が必要ではないかと考えます。
しかし、これも裁判所でどのように判断されるかわからないといえます。
成功報酬型の契約社員の典型は、ベンチャーキャピタルに勤める投資担当者といえます。
ある大手のベンチャーキャピタルは、投資担当者自らが発掘・投資して得た値上益に応じて給与を決める成功報酬型契約社員を増やすとしています。
契約期間は一年で、更新も行われるようです。
この契約社員も、労働基準法の労働者に該当するかぎり、労働基準法の適用を受けることを忘れてはいけません。
このような就労形態の労働時間に関しては、いまだ裁量労働の対象業務となっていないので、労働基準法第五条、三六条、三七条の労働時間の基本的骨格が適用され、労働時間の把握義務が使用者に課せられます。
そこで、この雇用形態で法的に問題となるのは、能力不足を理由とする契約更新の拒絶問題だといえます。
このような契約社員は、「投資事業を担当する」というように業務が特定され、それに応じた能力を有することが契約内容になっているからです。
ですから、この契約社員に同種の業務を担当する正社員より高い賃金が支払われているという事情があれば、その賃金にふさわしい結果が残せない場合、更新拒絶理由になる可能性が十分に適用を受け、使用者は労働時間に応じて一定額の賃金の保障をしなければなりません。
この保障額は、労働者の最低生活を保障する意味から、「つねに通常の実収賃金をあまり下らない程度の賃金が保障されるように保障給の額を定める」べきであるとなっています。
したがって、労働基準法第二六条の休業手当の趣旨からしても、少なくとも平均賃金の六○%程度を保障するのが妥当といえます。
しかし、これは労働者の責にもとづかない事由によって仕事が少なくなり、その賃金が極端に低額になる場合における最低保障を要求しているのであって、「労働者が労働しない場合には、出来高払制たると否とを問わず本条の保障給を支払う義務」はありません。
なお、賃金構成の中で、固定給部分が賃金総額の六○%を超えている場合には、労働基準法第二七条の適用はありません。
しかし、このような就労形態の契約社員については、高額な賃金が支払われているのが一般的であり、実務では同第二七条の適用のような事態は想定し難いといえます。
秘められているといえます(現在、正社員から契約社員に移行した場合には、正社員当時の賃金より一割から二割くらい高い賃金が設定されているようです)。
この契約社員の労働契約解消(更新拒絶も含む)については、労働契約書締結の際、具体的に目標数値を設定し、一定以下の数値の場合は労働契約を解消することができるよう合意しておくことが、トラブルを避ける方法だと考えられます。
在宅勤務型契約社員の労働条件と契約解消自宅をオフィスとして利用することができ、地元に営業基盤をもつ販売経験者を契約社員として雇用する、いわゆる、「在宅勤務型の地域営業マン制度」を導入するとしている企業があります。
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